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まずオリジナルの音を。。。と思ったんですが著作権の問題でそれはやめます。念のため原曲通りの譜面も起こしませんが、説明しやすい様に少々手を加えてみたものを貼ります。
ゼビウスは和音を分散(アルペジオ)して構成されてます。まず和音に戻します。

実際には使われてない音もありますが、和音にするとこうなります。
和音の状態で、まず凄い部分が2つあります。
一瞬転調している事。
ゼビウスの曲はCメジャーですが、一瞬Fメジャーに転調しています。
細かく言うと、2つめのC7からFM7がそれに当たるのですが、C7というのはヘ長調で言うとドミナント(ルート和音に強く移動するように響く和音)にあたります。ヘ長調のトニック(その調のルート和音)はF(ファ)です。
CからFの転調というのは下属調への転調なので簡単なのですが、コードがたった4つしかない曲で行われている所が凄いです。
Fm7(ホントはFm7/C)を使っている
コード進行を学んだ方は分かると思いますが、最後の和音、G7があるべき所にFm7があります。
これ実はCのドミナントであるGの変形です。G13からGの主要3音を抜いてます。
Fm7の下でGの音(つまりFm7/G)を鳴らしてみると納得出来ます。
Fm7/Gではなく、このFm7を使っている事が次の凄い事に繋がります。

アルペジオや(ピアノの演奏で)指が届かない場合は、まず最初にベースを弾く事で曲が安定します。決まり事という程でもないんですが、最も効果的な方法です。
そこで原曲を思い出して下さい。1拍めと3拍めは必ず低いC(ド)が鳴っています。
つまりBassはCです。そしてずっとCのままです。
Bassを一つの音にする事によって不思議なイメージを導きだす事が出来ます。
専門用語でドローン(通奏低音)と呼ばれる方法です。
Fm7にする事でCの音を使える様になり、またGを省いてCをBassにした事(つまりFm7/C)でドローンが出来る様になっている訳です。
さらにもう一つ。和音ごとの一番上の音に注目。

B>B♭>A>A♭と、半音毎に下降してます。この下降が味を出してます。
この進行こそが、ゼビウスの曲の核心だと言えるでしょう。
これらが組合わさった結果、無機質なイメージの曲になり、そして曲の短さつまり繰り返す事によって内向的なトリップに導かれるような感覚に陥ります。
たった4つの和音なのに凄いですよね、工夫が満載です。
これこそ完璧と言える物かも知れません。
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さて私がとった方法ですが、結局曲そのものに関しては、上記手法を真似つつアルペジオのバリエーションを増やす程度にしか思い付きませんでした。
その他の装飾音やバックには、
The Shamenが非常に参考になりました。今でもたまに聴いてます。
しかし最初のゼビウスの83年から12年後。音源チップもメモリ容量も飛躍的に向上したので、それを活かさない手は無いというか活かさないと殺される訳でw。
具体的にどうしたか。
まずオリジナルの曲をそのまんま使う事はやめようと決めました。
下手に使うと細野晴臣氏のアレンジっぽくなってしまうし、これは逃げだな、と。
ですがオリジナルとの繋がりをどこかに持たせないといけないとも思っていたので、使うなら(同人でよくあるような)アルペジオでネタ的に使うのではなく、もっと効果的に使おう、と考えてました。
ゼビウスの設定には、何と言うか「神のいない宗教」みたいなイメージがあります。
何か法則化された物。。。数学が一番近いと思いますが、まぁ簡単な法則をちょっと取り入れようと考えました。
まずゲーム構成とエリアから、曲を4エリアで1曲にする事に決定。
1エリアは約1分。ただしエリア4、8、12、16はアンドアジェネシスの撃破にかかる時間によって可変するので、このエリア曲でループ処理することに。
次にそれぞれのエリアの性格付けを考えました。それを表す為にそれぞれに専用の音色を割当てる事に。
エリア1~4は、オリジナルのゼビウスと違和感があるのは良くないと思ったので、初代ゼビウスのイメージを重視。これはそのまま電子音や、アナログシンセで有名な音で纏めました。
つまりメイン音色は電子音です。
エリア5~8は、ゼビウスの曲はバリの民族音楽"ガムラン"に影響を受けた、という話を聞いた事があるので、その意志?を受け継ごうと言う事でガムランをモチーフにする事に。
ガムランと言えば上記の通りバリ。それならば海の多いエリアで、と言う事でエリア5~8に割り当て。
メインの音色はゴン・グビャール等のガムラン楽器の音色。
そして、オリジナルの曲を使うにはタイミング的にも構成的にもここしかない、と判断してエリア6で使用しました。
エリア9~12は、ソルバルウは地球で言うとどの辺りを飛んだのかを考えました。
勝手な解釈ですが、オーストラリアからインドネシア諸島、そこからヒマラヤやチベット等の山々。それから敵の本陣へ、というルートだろうなと。
個人的に「海は打楽器、山は笛や声」というイメージがあるので、チベットの声明(しょうみょう)という歌。。。というか念仏を参考に。
(「どぅえ~~~♪」ってのが声明ですw)
メイン音色は声明だけだと辛いので「声」にしました。
エリア13~16はさらにエリアで分けます。
エリア13はエリア1~4のメイン音色の電子音、14は5~8のガムラン、15は9~12の声をうっすらと使用。
16はカオスという位置づけで、ここだけ独立というか法則無視で。
全エリアクリア後は、電子音、ガムラン、声を使って「調和」を意識して作りました。
すべての曲をつなげる為に、バスドラムは基本的に4分打ちで淡々と。
テンポはプレイヤーの興奮度に合わせるというか盛り上げるために序々に上げてます。
でもこれだけやっても、オリジナルには叶わないなぁ、と痛感します。
完璧な物というのは結果シンプルな物なのかも知れませんね。